「はっ!?け、結婚!?」 顔面蒼白とはまさにこのこと。 突然結婚しろだなんて言われれば、誰だってそうなるでしょう? けれど私にそう頼み込むお父様の顔だって負けないくらいに真っ青。 なんでも会社が倒産しそうなところをとあるマフィアに助けてもらってそのお礼に私を差し出すことになったらしい。――って、納得できるわけない! でもでも、私の背中にはお父様、お母様、それに会社のみんなの命運もかかっているなんて…。 「……、わかったわ。お父様。わたくしに任せて!」 マフィアと結婚だなんてまっぴらごめん! けれどお父様お母様、そしてみんなの為に一肌脱いであげる! 「では取引をしましょう。」 あなたの娘を私にください―― それだけで会社が助かるのだと悟った彼は二つ返事で了承した。 身勝手な父親を持った彼女を心底哀れに思うが、それは己が謀ったこと。仕方がない。 一目見て心奪われた少女がこうもたやすく手に入るとは思っていなかった。 ――もっとも、その心まで手に入るわけではなかったようだ。 「じゃぁ賭けをしないか?」 3ヶ月後の式までに必ず自彼女を落とすと宣言。彼女は満面の笑みでそのかけを受けると手を差し伸べてきた。 交渉成立の握手を合図に、ゲームスタート。 この白く細い手を、誰が放すものか。否、彼女にだって放させはしない。 |
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